深夜特急の上空に自家用ジェット

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ノンフィクションライター
沢木耕太郎氏の著書に
深夜特急』という作品があります。

これは氏が大学卒業後(1970年頃)
就職せずに、
香港・マカオからロンドン迄を
世界一周した紀行小説です。

特に文庫本が出版された90年代
若者の間でブームになり、
後に映画化もされました。

当時は《自分探し》
という言葉が出てきた頃で、
バイブルにしていた
バックパッカー》もいたと思います。

私が読んだのもその頃でした。
それで後に香港・マカオを旅行した際は、
小説を追体験する気分でもありました。

深夜特急』で、
私が記憶に残る内容の一つに
お土産の話しがあります。

それは、
旅も残りわずかゴールが見えてきた頃、
氏がふと
お土産を買いたい気持ちになった箇所です。

それは、
何か欲しい土産物を見つけたから
では無く、
『この旅がもうすぐ終わり、そして自分は
 此処へは二度と訪れる事が無いかもしれない
 と感じ、だから
 何か記念となる土産物を買おうか
 という気持ちになった様だ』
という様な事が書いてあったと記憶してます。

私は若い頃、
クラシックなモノが好きでした。
昭和レトロ、大正ロマン
明治の文明開花時代、
100年以上前の世界……。

今もそれらは好きではありますが、
最近は以前は全くと言って良い程
興味の無かった遥か未来、
例えば100年後の世界に
興味が湧いて来ました。

今から100年後の世界を
私は見る事は無いでしょう。
それが、旅と例えられる人生が
もう後半を過ぎている事を感じ、
訪れる事の無い旅の先の世界を
愛しく感じているからかも知れません。

ところで深夜特急
ミッドナイト・エクスプレスに乗るとは
《脱獄する》という隠語が有るそうです。

これは氏の同書籍の冒頭に記載させていて
読者はそこで、この旅への
ある種の覚悟をさせられるのです。

どういうワケで
深夜特急がそういう意味になったかは
わかりません。
隠語だから、敢えてワケは無いのかも
知れません。

だけど最近ニュースとなった大事件。
カルロス・ゴーンの逃避行が、
自家用ジェット機による
逃飛行であったので、
《海外逃亡する事を自家用ジェットに乗る》
という隠語とするのは、
不謹慎ながらも
意味が合っているワケであります。。。。

……それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう✨

  夏の真昼

本日のBGM:モンティ・ノーマン作曲
       映画007『ジェームス・ボンドのテーマ』

小説『フーガ遁走曲~白薔薇婦人が愛した庭~』
https://natsunomahiru.hatenablog.com