悲劇あるいは喜劇。桜の園の幸福の王子。

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以前何かのTV番組で、
60代位の女性が街頭インタビューに答えて
「これ迄の人生で一番悲しかった事は
お父さんが亡くなった事。
お父さんの事が大好きだったから、
とても悲しい」と寂しそうに言っていた。

この話を聞いて私は
『この人は幸せな人だ』と思った。

お父さんが亡くなった事は悲しい事。
だけど、こんなに悲しくなる程
お父さんを好きだったという事が
とても幸せな事。

もう十何年も前だが
ヨーロッパの何処かで、
親から逃げ出して来た子供達が
マンホールの中……地下で暮らしている
というニュースが流れた。
自治体の人が子供達を
連れ出そうとするが、皆
「家には帰りたくない」と言う。

中には5才位の幼い子もいた。
その子は小さいので、
当局の人に捕まって(?)しまったのだが、
悲鳴を上げて泣いていた。
その子が嫌がっているので、当局の人は
その子を放してあげた。
するとその子は又、マンホールの中に
逃げ込んだ。

こんなに嫌がる程の酷い事をされたのか
と思うと、胸が苦しい。
この子にしてみれば、
親の存在が悲劇になっている。

以前、知人が
「子供が可哀想なのは見てられない。
そういう物語も堪えられない」と言っていた。
だから『オリバーツイスト』は読めないそうだ。


二十歳前後頃(大昔)、
チェーホフの『桜の園』を読んだ。
私はこれは《悲劇》と思っていたのだか、
後で、
これは《喜劇》とされていると知り、
『そういう捉え方ですか!?』と驚いた。

では果たして『幸福の王子』は、
どう捉えられているのでしょうか?
登場人物のツバメも含めて
《美しいお話》とも思いますが、
作者のオスカーワイルドの人間像を思うと、
《悲劇》なのやら《喜劇》なのやら……?

悲劇、喜劇が入り混じった世界で
生きている私たち。
悲劇と捉えるのか喜劇と捉えるのかは
自分次第。

今は《令和》という時代である。
初めはピンとこなかったけれど
何だか《美しい》元号である様に
最近は感じてきた。


……それでは今日はこのへんで。
またブログでお会いしましょう✨
   夏の真昼

本日のBGM:佐野元春『彼女が自由に踊るとき』

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夏の真昼 著 小説
『フーガ遁走曲~白薔薇婦人が愛した庭~』
https://natsunomahiru.hatenablog.com

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